【鑑定雑感】No.002「キャップレートについて考える②」

②J-REITの配当利回りとの関係について

 

 多くの不動産鑑定士がキャップレートの判断の基礎として利用している調査データとして、(財)日本不動産研究所が年2回公表する「不動産投資家調査」がある。国内の大手不動産投資プレーヤーを対象としたアンケートに基づいており、調査時点の「不動産投資市場の体感温度」を知るには非常に有用なものだ。

 

 この調査において、「期待利回り(実際利回り)」が下がれば、半年前と比較して市場は強気(不動産価格の上昇)になっていることを示している。直近の調査結果によれば2008年のリーマンショック以降ずっと横這いで推移してきた利回りが4年ぶりに低下していることが確認された。

 

 即ち、賃料収入が増えていなくても、不動産収益価格は半年前より上がっているという状況(正確には半年前より高い価格で不動産取得してもよいという判断)を示している。

 

 ところで、アベノミクス効果で株式市場が絶好調だが、これより更にJ-REITの上昇が凄い。その結果としてJ-REITの配当利回りは1年前の5.34%から3.33%まで大幅に下がっている。

 

 不動産投資家調査における「期待利回り」は不動産それ自体に対する(期待)利回りであるが、J-REITの配当利回りは不動産を裏付けとしたJ-REITという金融商品に対する利回りであり、この2つは必ずしも一致するものではない。J-REITを購入している投資家は配当利回りだけで投資判断しているわけではなく、投資口価格自体の値上がり期待等の要素も投資判断の材料としているからだ。

 

  因みに、不動産投資家調査の「期待利回り」は丸の内のような超一等地のAクラスオフィスビル、これに対してJ-REITの「配当利回り」は全銘柄の時価総額による加重平均を使っているが、この2つの利回りのリーマンショック(2008年秋)以降の推移を見てみるとびっくり。

 少なくともAクラスのオフィスビルの期待利回りより常に高く推移していた配当利回りが、これを下回ることとなった。

2009/4 2009/10 2010/4 2010/10 2011/4 2011/10 2012/4 2012/10 2013/4
J-REIT平均配当利回り 7.06% 5.88% 5.19% 5.25% 4.66% 5.68% 5.34% 5.13% 3.33%
投資家調査期待利回り 4.50% 4.50% 4.50% 4.50% 4.50% 4.50% 4.50% 4.50% 4.30%
乖離 2.56% 1.38% 0.69% 0.75% 0.16% 1.18% 0.84% 0.63% -0.97%

  最近になって生じたこの逆転が何を表しているのか・・・・・? 今後の動きに注目していきたい。